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ハロワ立川裁判控訴審意見陳述

 ハローワーク立川雇い止め裁判控訴審第1回期日で、原告の行光さんが行なった意見陳述です。



意見陳述書

2017年7月14日

東京高等裁判所第10民事部 御中

控訴人 行 光 誠 治

 今年3月8日、東京地裁より下された判決には、大きな誤解が有り、そこに立脚した判決は不当と言わざるを得ません。

 私たち労働者は毎日安心して働き、安定した生活を送ることができるように職業の安定を求めています。

 この裁判に私は国際労働機関・ILOの「職業安定組織に関する条約88号条約」を掲げて望みました。ILOは「全ての人にディーセント・ワーク」、すなわち「権利、社会保障、社会的対話が確保されていて、自由と平等が保障され、働く人々の生活が安定すること」を目指しています。しかし、その報告書によると、「非標準的な雇用形態は今日の仕事の世界の大きな特徴」であり、世界中で非標準的な雇用形態が問題となっています。日本も例外ではありません。2015年までに雇用者の37%が非正規となっています。

 驚くべきことに、非正規問題と取り組むべき、担当労働行政機関であるハローワークでは、既に職員の6割を非常勤職員が占めているのです。この点に関して、先の東京地裁の法廷でも述べ、さらに判決文の中でも異論のなかったところです。

 ところが、今回の地裁判決は、非常勤職員が常勤職員よりも多いという現実を直視せず、まったく無視した形で下されています。

 早期就職支援ナビゲーターによる就職支援プログラムは、対象者の就職にいたるまでの継続的な支援を担当制で行うものとされ、決して常勤職員の補助的業務でないことは明らかです。

 仕事を失い、路頭に迷っている求職者や失業者の不安解消、問題解決には、丁寧な聞き取りと相談、アドバイスは欠かすことができません。

 公共職業安定組織としての信頼は、そのような現場の窓口での職業相談によって得られます。私が証拠として提出した相談者からの手紙やメールは、そのことの何よりの証です。

 また、ハローワークでの早期就職支援ナビゲーターによる職業相談は、1年限りの一過性の常勤職員の補助的業務などではありません。この制度が登場して10年以上が経過しています。

 地裁判決は、早期就職支援ナビゲーターによる職業相談が、リーマンショックに対応する臨時的業務であるとの判断に基づいています。しかしこの制度はリーマンショックとは関係なく、それ以前から続いていました。日本の社会構造の変化と、これまでの日本的雇用の変化に対応すべく定められたのであり、長時間にわたって対応すべき業務として置かれたものです。

 私は労働者として、ハローワークに雇われ、1年の任用を5回繰り返され、6年間勤めて来ました。東京労働局は、改正労働法のパンフレットの中で雇い止め法理について説明をしていますが、その中で使用者側に説明を尽くすことを求めています。ところが、私を雇止めした人物は、雇止めについて、「他にいい人がいた」というだけで、何の説明も行わず、裁判にも出てきませんでした。

 国家公務員法人事院規則が保障しているのは、法律に定める以外に免職されることのないという公務員の地位の安定ですが、1年限りの期限付き任用の非常勤職員にとって、このような規定は何の保障にもなりません。

 誰が考えても、1年の任用期限が定められた非常勤と、期間の定めのない常勤職員が同じように地位を保障されているとは言えません。任期内は免職されないことを以て、非常勤も常勤職員と同じように地位の保障がなされているというのは詭弁でしかありません。

 私だけでなく、就労者の過半数に及ぼうとしている非正規労働者にとって、このような矛盾に満ち、詭弁に満ちた判決を受け入れることは到底できないことです。

 ここに控訴し、高等裁判所の公正な審判を受けたいと存じます。

以上